第13章 恋愛事情(時透無一郎)
〜お昼休憩〜
『しのぶちゃーーーーーん!!!』
「…やっぱり来た。」
『そんな迷惑そうにしないでよー!
新人くんに仕事のこと教えたいのに、女子社員たちがわんさかしていて教えるどころか話すこともできないよ!』
「だから言ったでしょ?
ある意味大変そうな子よ、って。」
『これじゃあ私の仕事もできないし今日残業になっちゃうよ…
改めて冨岡さんに教育係お願いされたとき周りの子達にすごい睨まれたし代わってって言われるし…
ただですら冨岡さんやしのぶちゃん社内でも美男美女カップルで有名なのに私みたいな奴が仲良くしてるから目つけられてるのにこれじゃあもっと標的にされちゃうじゃん!!』
「私が飛鳥さんと仲良くしてるのは貴女の人間性が好きだからなんだけどね。
仕事のパートナーとしても凄く信頼できるし。
それは冨岡さんも一緒…って聞いてないか。」
飛鳥は仕事が本当によくできるため滅多に残業なんてしない。
また周りの人間のこともよく見ていて困っていたら自ら手を差し出し犠牲になるタイプだ。
全ての責任を負いそうになることが何度かあったため、そこだけ心配しているしのぶ達。
「…残業になりそうなら手伝うから教育係代わっちゃ駄目。
この状況で飛鳥さん以外任せられる人いないから。」
『しのぶちゃんありがとう!
とりあえずごはん食べたらもう一度新人くんのところ行ってみるね!』
「私から資料室に行くように伝えておくね。
そこが一番教えられることが多いだろうし邪魔もされないだろうから。」
『何から何までありがとう!!!』
飛鳥はお弁当を食べ始めた。
「…本当に素敵な笑顔ね。
もう、変な男に捕まっちゃダメだからね。」
飛鳥に聞こえない声で呟くしのぶだった。