第12章 光炎万丈(煉獄杏寿郎)*
『ちょっと杏寿郎!?』
バタバタと杏寿郎は乱暴に扉を開け飛鳥を引っ張る。
『ねえっ……やっ!!!』
自室の扉を開けると真ん中に布団が引かれている。
そこに飛鳥を押し倒した。
『…っなに…どうしたのっ…!』
両手首を杏寿郎に掴まれているため動くにも動けない。
「どうだ、これでも大丈夫だと言えるのか?」
彼の顔は真剣そのもの。
大きな瞳が飛鳥の瞳を見下ろす。
『こんなの、杏寿郎の力が強いだけでしょっ…!』
「いや、今俺は半分くらいの力しか出していない。
平均的な男の力だ。」
『え………』
飛鳥は驚いた。
柱だった頃はこれくらい朝飯前だったと言うのに…
『…こんなに力が衰えてるなんて…』
小さな声で呟いた。
「分かったか、飛鳥。
今のお前は男に押し倒されたら力ずくでどうにかすることは不可能だ。」
『…分かったから…もうどいてよ!』
飛鳥は自分の非力が情けなくなった。
そして今までの想いが溢れてくる。