第10章 赤いキク(時透無一郎)＊

『…今日見たの。
　時透くんが凄く綺麗な女性に告白されているところ…』
「…そうなんだ。」
『他にもかなり告白されてるよね？』
「…飛鳥にはそんなこと関係ない。」
『関係あるよ！
　この1年間、私が答えを出さなかったからずっと告白受けてなかったんでしょ？』
「…だから？」
『ごめんなさい…』
「…は？なんで謝ってるの？」
『私のせいで、時透くんの時間を無駄にしてしまった…』
「…そんなこと思わなくていい。
　飛鳥のせいじゃないし、僕が勝手にそうしてただけだから。
　…それより、僕の方こそ、、、」
『私凄く嫌だったの。
　時透くんが他の女性に告白されてるの。
　付き合ってる訳でもないのに、他の人と時透くんが恋仲になるって思ったら胸が凄く凄く痛かった…』
「………」
『そのときハッキリ気付いたんだ。
　私…時透くんのことが好き。』
はっと顔を上げる無一郎。

『…散々待たせておいて、本当に自分勝手でごめんね…
　多分、時透くんはこのまま私を抱き倒したら私の前から姿を消すつもりでいたでしょう…？』
「………」
…流石、最強の元日柱だ。
無一郎は何も言うことができない。