第10章 赤いキク(時透無一郎)*
『っ………』
「飛鳥どうしたの?顔真っ赤だよ」
つぅ…と指で飛鳥の腕に触れる。
『あっ……ふぅ…
ごめっ…なんでもない…っ…』
「…でも苦しそうだよ?
そんな声出して…」
『ん…ご、ごめっ……!
か…身体が変なの……っ…』
「大丈夫だよ、それ媚薬の効果だから。」
『び……びや……?』
飛鳥の呼吸が荒々しくなってきた。
『ちょっ…媚薬なんてな、なんでっ…!』
「飛鳥がいけないんだよ?
僕はずっと返事待ってるのに…
なのに飛鳥は返事もくれないし遊んでばかり…
事故とはいえど、他の男に胸見せて…
僕がどんな気持ちだったと思う?
そう言ってクスリと笑う無一郎。
しかしその目は全く笑っていない。