第10章 赤いキク(時透無一郎)*
「飛鳥、意外と積極的なんだね。」
沈黙を破ったのは無一郎だった。
「だから時透、誤解だ!
俺はこいつとはなんでもないんだァ!」
「不死川さんは何をそんなに必死になってるの?
僕が飛鳥に告白してまだ返事貰ってないから?」
『あ………』
「別に気にしなくてもいいのに。
なかなか返事できないってことはそういうことでしょ?
断りたくても申し訳なくて断れないのか他に好きな人がいるのか…」
『それは違っ…!』
「いずれにしても、それはちゃんと飛鳥の口から聞きたいな。」
無一郎は飛鳥にそう伝えると今度は実弥と玄弥に向かって…
「ごめん。僕、今から飛鳥とちゃんと話しがしたい。
だから食事はまた今度でもいい?」
「「ゆっくり話してきてください」」
『え!?そんな…ごはん……』
「お前、飯なんてまたいつでも食えるから今日は時透としっかり向き合ってこい!」
「飛鳥、食事なら家で用意するから。
それじゃあ不死川さん、玄弥、またね。
飛鳥、行こっか。」
『あのっ……!』
無一郎は飛鳥の手を掴み、不死川邸をあとにした。