第10章 赤いキク(時透無一郎)*
『時透くん…?なんでいるの…?』
「…さっき一緒になって夕食に招待したんだ…」
「時透っ、これは違うんだ、誤解だァ!
東雲、お前もいい加減離れろォ…」
そう無理矢理飛鳥を引き離す実弥だったが、彼女の格好を見て言葉を失う。
「おまっ…何て格好してんだァ!!」
玄弥は目を逸らし、無一郎は無表情のままジッと見ている。
飛鳥の服は寝てる間にはだけてしまっており、胸が見えていたのだ。
『え………いっいやぁぁぁぁあ!』
女が涙目で服ははだけ、男に抱きついている。
これは説明するにも少し無理がある。
側から見たらそういう風にしか見えないだろう。
必死に無一郎にフォローする実弥だったが無一郎は全く動じない。
飛鳥はその間に服を直す。