第10章 赤いキク(時透無一郎)*
「〜〜〜〜〜〜〜」
何やら声がする。
飛鳥はハッとする。
時間は17:30をまわっている。
『あ…私…寝ちゃってたんだ…
実弥さんも玄弥も帰ってきたのかな…』
ゆっくり体を起こすと目の前に大きな蜘蛛が。
『ひっ、、、、、!』
虫が大の苦手な飛鳥。そして…
『いやああああああああああああ…』
大きな声が家中に響き渡る。
バタバタバタバタ…
「おい、どうした…うわっ!」
飛鳥は部屋に来た実弥に抱きつき指を指しながら必死で伝えている。
「兄貴?なんだよ今の叫び声…誰が来てるの…って飛鳥?」
『げ…玄弥っ…!!』
「…でけェ蜘蛛が出てそれにビビったらしい。
ったくよォ、何かあったかと思ったじゃねェか…」
『ごめんなさいぃぃ…』
飛鳥は既に涙目。
「玄弥?今の何?大丈夫…」
「あっ、時透さ……!」
「ばっ、時透…っ!今は来るなっ…」
今の状態を見られたら色々まずいー…
そう思ったが遅かった。