第10章 赤いキク(時透無一郎)*
「なるほど…」
飛鳥は実弥に全てを話した。
見た目は怖いが、色々恩があるからか飛鳥には優しい実弥。
黙って話しを最後まで聞いてくれた。
「東雲…お前は本当に鈍いんだな。
悪いが、話し聞いてて苛々するぜ…」
『え、ご…ごめんなさい…』
「とりあえずもう泣くなァ。
旨いもん食わせてやるから家に寄ってけ」
『えっ!あ、あのっ……!』
そう言い、強引に飛鳥の掴み自宅へと連れて行く。
『あの、実弥さん!今日玄弥は…』
「今買い物に出てらァ。今日は東雲の好物を作らせる。
だから今日は家に来い。いいなァ?」
『は、はいぃぃぃ…』
ギロっと鋭い目で見られた飛鳥は子ウサギのように大人しくついていくことにした。