第10章 赤いキク(時透無一郎)*
『伊黒さん!お久しぶりです!
この度は…本当におめでとうございます!
お父さんになるんですね…』
小芭内は顔を真っ赤にさせ、「お父さん…」とブツブツ言い始めた。
その姿に飛鳥と蜜璃はクスクスと笑っていた。
『そういえば蜜璃さん…
さっき何か言い掛けてませんでした?』
「あっ、うん…その…時透くんのことなんだけど…
告白されて1年近く経つでしょう?
もう返事したのかしらって思って…」
『…まだ…なんです……』
「そうなの…
あのね、飛鳥ちゃん…余計なお世話かもしれないんだけど…
時透くん、色んなところからお見合いの声かかってるみたいなの…
だからもし…飛鳥ちゃんが彼のこと好きなら早く返事した方がいいと思う…!」
『…そうなんですね…
でも私にはそれを止める権利もないし彼とも釣り合うわけではないので…』
「…飛鳥ちゃん、、、」
蜜璃はそれ以上掛ける言葉がなかった。