第10章 赤いキク(時透無一郎)*
『…ありがとう。
玄弥って見かけによらず優しいよね。』
クスリと笑いながら飛鳥が言う。
「なんだよ、失礼だなっ!
人がせっかく真剣に話し聞いてやってるのに…」
『あはは、ごめんごめん。
おかげで少し元気が出たよ!』
「まぁ、また何かあったら話し聞くから。」
『ありがとう!』
改めて玄弥と同期で良かったなぁと思う飛鳥であった。
『えっ!本当に!?』
飛鳥は蜜璃に呼び出され伊黒邸に来ていた。
「うんっ!もう安定期に入ったからね…
飛鳥ちゃんには1番に報告したかったの!」
なんと、蜜璃は身篭っていたのだ。
『嘘…!凄く嬉しいんですけど…!!
本当に本当におめでとうございます!!』
「ふふふ、ありがとう。」
『体調はどうですか?
悪阻とか…大丈夫なんですか?』
「最近まで悪阻が酷くて…
大好きな物が食べれなくて凄く辛かったの…
でも今はもう大丈夫よ!
小芭内さんが、身体に優しいご飯を毎日作ってくれてるの!」
『わ〜、素敵な旦那さん、、、』
「ところで飛鳥ちゃん…時…」
「東雲!久しぶりだな。元気だったか?」
小芭内がやって来て飛鳥に声を掛けた。