第10章 赤いキク(時透無一郎)*
玄弥の言う通り、彼はまだ16歳だけどしっかりしている。
何考えてるか分からないときもあるけど優しい。
それなのに何をそんなに悩んでるかって?
それは年の差は勿論なんだけどー…
『…時透くん、凄くモテるんだよね…』
「あー、やっぱりそれが1番気がかり?」
『うん…』
「時透さん、確かにモテるよなぁ。
元々綺麗な顔立ちだったのが身長も伸びて段々男らしくなってきたし…」
『よく見かけるんだよね、可愛らしい女の子たちに囲まれてるところ…
それ見ちゃうとさ、あーやっぱり私じゃ駄目だなぁと思うわけよ…
ほら、私2年前までバリバリ戦ってたでしょ?
だから体つきが男っぽいというか…
まだ筋肉とかついてるし…』
「そんなの関係ないと思うけど。
俺も勿論そうだけど、みんな飛鳥さんがいてくれたから、必死で戦ってくれたから今があるんだよ。
だから見た目とかそういうところを悪く言う奴は俺は絶対許せない。
それは時透さんも兄貴も他のみんなも一緒だよ。」
玄弥は真剣な顔でそう答えた。