第9章 黄色いヒヤシンス(時透無一郎)
『ねえ…どういう意味…?
まだ時透くん16歳だよ…?
結婚なんて早いよ…!
相手だって私なんかよりもっと相応しい子がいる…』
「僕は飛鳥がいいんだけど?
…歳下だから嫌なの?」
『そうじゃないよ!
ただ…時透くんどんどんかっこよくなってるし…
若くて綺麗な子の方がいいんじゃない…?
私じゃ不釣り合いだよ…』
2年前より10cm身長が伸びた無一郎。
飛鳥の顎をクイっと持ち上げる。
「…僕の手のこと、気にしてるの?」
そう…
無一郎の手は2年前の上弦の壱, 黒死牟との戦いの際右手を失くしたのだ。
『…ごめんなさい…私のせいで…』
飛鳥は命を救えたものの、身体の一部を失わせてしまったことをずっと気にしていたのだ。