第9章 黄色いヒヤシンス(時透無一郎)
「手がないから、僕のことが嫌なの?」
『違っ…!そんなわけないでしょ!』
パシッ…
飛鳥は思わず無一郎の顔を叩いた。
『時透くんは…私がそんなこと思ってると…?
そんな風に思ってたんだ…』
「………」
『手があったってなくたって…時透くんは時透くん。
私は生きててくれただけでも本当に嬉しいんだよ…
伊黒さんも蜜璃さんもしのぶさんも杏寿郎さんも…
みんなそう。
どこかしら負傷させてしまったことは本当に申し訳ないと思ってるけど…
でも生きててくれて本当に良かった…そう思ってるよ』
無一郎は口を開く。
「…ごめん、酷いこと言って…」
『あ…私こそごめん…!
顔、叩いちゃった…』
飛鳥はそっと無一郎の頬に手を触れる。