第1章 この気持ち (時透無一郎) *
〜無一郎side〜
…彼女の部屋まで来てしまった。
別に謝りたいわけではない。
励ましたいわけでもない。
ただ、このモヤモヤした気持ちがなんなのか…
それだけ確かめたいんだ。
ドアをノックしようとしたときー
「好きだ。」
ドク…ン…
小窓を覗くとそこには冨岡さんの姿が。
その前にはとても驚いた表情の彼女の姿。
"先越されちゃいますよー"
そういう意味だったのか。
彼女の頬には冨岡さんの手が。
その手を震える手で触れ
『ありがとうございます…凄く嬉しいです…』
そう彼女の震える声が聞こえた。
僕はそのまま去って行った。