第1章 この気持ち (時透無一郎) *
〜無一郎side〜
あの日から1週間。
彼女はまだ目を覚ましていない。
僕には関係ない…
でも気になって仕方がないんだ。
あのとき、冨岡さんは彼女を抱えたまま
僕に鋭い視線を送っていた。
まるで"もうこれ以上苦しめるな"
と言わんばかりに。
柱のみんなは僕と彼女の関係を
知っていたからこの1週間
距離をとっていた。
…なんで僕がこんなに気にしないと
いけないのか。
仲間を避けないといけないのか。
「時透さん。」
「…胡蝶さん…」
「飛鳥さん、今目を覚ましましたよ。
"僕には関係ない"ってお思いでしょうが
一応報告です。
彼女は水柱の継子なので。」
「…そうですか。よかったです。では…」
「私は他人の恋愛なんて全く興味ありません。
恋仲になろうがならまいが私には
全く関係ありませんので。
私は自分の仕事をキチンとこなしてくれれば
何も言いませんし口を挟むことはしません。」
「………」
「最近の貴方はどうですか?
何に対しても上の空。
一昨日の鬼退治のときだって
普段じゃ絶対にしないミスを何回も
していましたよね?
それに仲間のことを避けてる。
それはどうしてですか?
何か避けないといけない理由があるんですか?」
「………」
「…自分の気持ちに正直にならないと
絶対に後悔しますよ。」
「…失礼します。」
「先越されちゃいますよー!」
僕はその場をあとにした。
「やれやれ…
まだ14歳のお子様には難しい
問題ですかね…」