第6章 傷口に砂糖を(伊黒小芭内)＊

そして放課後…
時間は19時を過ぎていた。

『伊黒先輩！お疲れ様です！』
「…まだ残ってたのか？」
『先輩と一緒に帰りたくて…迷惑でしたか？』
「いや別に…じゃあ帰るぞ。」
『はいっ！』

『あの、先輩はどうして私の告白
　受け入れてくれたんですか？』
「…特に深い意味はない。
　今フリーだし、付き合ってみようと
　思っただけだ。」
『そ…そうなんですか…』
「『………』」
『あっ、じゃあ私家こっちなので…』
「もう暗いから送ってく。」
『え！いや、大丈夫です！！
　私が一方的に待ってただけなので…』
「女一人で夜道は危険だ。
　並んで歩くのが嫌なら後ろをついてく。」
『わ…分かりました！お願いします…』

『ありがとうございました…』
「明日からはもう待つな。
　…部活休みのときは言うから。」
『はい…！』
「じゃあな。」
『はい、また明日！』
飛鳥は小芭内が見えなくなるまで彼の後ろを見つめていた。

「伊黒と付き合ってるって本当だったんだな。」
『…義勇？！見てたの？』
「そりゃ俺の家お前の家の隣だし…
　声聞こえたからさ。」
『あ…ごめん…』
「ま、あいつ無愛想だけどいい奴だよ。
　ただ、知っての通りモテる奴だから
　女子に虐められないように気を付けろよ。
　なんか困ったことあったら言えよ。」
『あ、ありがとう義勇…！』