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【ツイステ】ねえ、そばにいて

第28章 それは私の選択肢


私のユニーク魔法は、信頼を元に成り立つ千里眼で「密かな夢(エバーモア)」という。
対象の人物から事前に許可をもらっていれば、その人物を中心に半径約20mの範囲を自由に見れる。対象の人物と同じ目線でも、違うところから見ることも可能。20m範囲内なら、好きなところにカメラを置いて見れる感じ。私は「観る」と言っている。
ただし許可をもらっていても、対象が無意識にでも見られたくないときは発動できない。例えばトイレだとか風呂だとか。
許可をもらっているのはカリムとジャミル、あと私自身で、その3人のまわりしか観れない。
いつでも自分とそのまわりを観られてしまうなんて基本的には嫌がるものだ。

「許可」といっているが、「観ていい?」「いいよ」ぐらいの口頭で確認した簡単なもの。
でもそれを魔法契約の一種だと考えれば?

魔法契約といっても様々で、契約書の形をとっているのはわかりやすい方、中にはサイン無しでも、呪いみたいに強い魔法拘束力が発生するものもあるし、魔法の組み方、個人の魔法の個性、人か、妖精か……とまあ、多種多様なのだ。

魔法で大事なのはイマジネーション。先人の知恵を学んで、私のユニーク魔法は成長できるかもしれない。
ちなみに以前アズールのユニーク魔法が「黄金の契約書」だと知り、話を聞きたいと思ったが、ジャミルに全力で止められた。しょうがない。


話を戻そう。国立魔法契約研究所のあるこの町は、魔法契約の簡易化と一般利用に積極的だ。
魔法契約と言えば、海の魔女の契約書や、ある魔法学校のゴブレットなどが一般的にも有名だが、もっと単純に。

普通の契約書より、ちょっと拘束力が強い魔法契約書を、誰でも気軽に使う文化のある町ってことだ。



男に渡された契約書をなぞる。
これは後で契約を解除しようとすると、色々面倒だな……。さて内容は、

「え……?」

「悪いことは言わねえ。あのアジームの坊っちゃんのことは諦めてくれ」

「は?」

「『速やかに恋人関係の解消を宣言し、今後、一切カリム・アルアジームと会わない。話さない』それだけだ」

頭が真っ白になった。

「この家は特別だ。恋とか愛だけじゃどうにもできない世界があるんだ。若い頃は『運命』とか、『たったひとりの』とかいうフレーズに弱いもんだ。わかるぜ。おれもそうだった。でもやり直していいんだ。だから、ここはやめとけ」


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