第18章 好きだから守りたい
「アーヤ」
カリムが落ち着け、と肩をぽんと叩く。
「詳しいことはわからないけど、ちゃんとジャミルと話をしたらいいじゃないか。わからないなら、直接聞けばいいだろう?」
「怖い。怖いの。また拒否されたらと思ったら聞けない」
「……なあアーヤ、ジャミルのこと死ぬほど好きなんだろう?それなら、怖くても聞かないとダメだ」
「………………は?……死ぬほど?」
あまりにも突飛な単語だった。一瞬何に悩んでいたのか忘れてしまうほどに。
「胸がぎゅうぎゅう締め付けられて痛いだなんて、大変だ!ジャミルのことで、そんなに心臓が苦しくなるってことは、死ぬほど好きってことだろ」
……
「それなら、怖くても聞いた方がいいぞ」
「死ぬほど好き」って……なんだか子どもっぽい言葉だな。
それだけ頭に浮かんで、しばらく思考が停止した。
ゆっくりと、頭が回り出す。
でも、そうか。……死ぬほど、好きなのか。
そう思うと、言葉の単純さに引っ張られて、頭も単純になってくる。怖くても聞けばいいのか。何もしないで死ぬよりいいじゃない。
不安ならば話した方がいい。わからないなら聞けばいい。
伝えたいことは、声に出して届けよう。
「じゃあ、ジャミルも来たみたいだから、オレ帰るな。……大丈夫だ。がんばれよ」
部屋の外に出て、誰もいないのを確認して、カリムは思わず呟いた。
「ちゃんと話せばいい。何があったか知らないけど、ジャミルがアーヤを嫌いになるなんて考えられないからな……」