第18章 好きだから守りたい
気付いたら自室のベッドの上だった。
「アーヤ!!!大丈夫か!?」
「カリム君……?」
隣にはホッとした顔のカリム君がいた。
「良かった!心配したんだ。ジャミルも今は出てるが、もうしばらくすれば戻るはずだ!」
「ジャミル」の名前に胸が締め付けられた。……何してたんだっけ。私、ジャミルに「蛇のいざない」をかけられて……でもまたジャミルの部屋に行って……魔法……そうだ!襲撃!!
「カリム君、状況がわかりません。襲撃者はどうなりましたか?みんなは無事ですか?」
「落ち着けアーヤ。まだ起きたばかりなのに大丈夫か?もっと休んでから話しても……」
「大丈夫!大丈夫だから、教えてください」
「……わかった」
襲撃者はジャミルを狙った刺客だったらしい。ジャミルがオーバーブロットした噂を聞いて、バイパー家を切り崩し、排除しようと考えた者がいたようだ。学園内での被害もなく、あのときの侵入者はジャミルが全員捕えて学園長に引き渡し、アジーム家にもカリムから直接連絡し、あとは「問題無い」、とはカリムの言葉だが、とにかく安心していいらしい。
私は、侵入者の魔法が当たる直前にジャミルが風で空気の壁を作ってくれたために、軽症で済んだそうだ。
「そう……でしたか」
「2人とも無事で良かった。アーヤはずっと眠っていたんだ。もう今日の授業は全部終わったぞ」
「ええっ!?」
窓を見ると、なるほど。この橙の光は朝日ではなく夕日だったのか。昨日は色々あったし、さらに寝不足で戦闘もして疲れたのかもしれない。
「ジャミルは、今寮生に呼ばれてて……」
侵入者の件が落ちついたとわかったからだろうか。昨日のジャミルを鮮明に思い出してしまった。拒否された。その事実を思い出して一気に体も心も暗く重くなる。
「アーヤ?アーヤ!何で泣いてるんだ!?」
「え、……」
無意識に泣いていた。カリムがオロオロとしながらも、背中をさすってくれる手が優しくて、涙が止まらない。
「カリム君、どうしよう。……ジャミルに嫌われた。わからないけど多分私のせいなの。でも、どうしたらいいかわからないの。苦しいの。胸の辺りがぎゅうぎゅうしてすごく痛いの」
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