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【ツイステ】ねえ、そばにいて

第2章 視線の文法


注 パーソナルストーリーの内容があります。
~4章前~

「食料の調達?」

「そうだ。カリムのヤツ、急な宴をまた勝手に決めやがった。チッ、時間が無さすぎる。俺はポムフィオーレ寮へ行ってくるから、戻ってきたらすぐに調理に取りかかれるように厨房に準備してくれ」

「何時までに?」

「14時までに」

「時間が無いわ!人使いが荒らいわね!!」

「そんなの全部馬鹿カリムのせいだ!」

ジャミルは私の前では遠慮が無い。
普段なら絶対に言わない暴言も、ここではスラスラ口から流れ出てくる。
それは、私のユニーク魔法があるからだ。

私のユニーク魔法は、信頼を元に成り立つ千里眼である。
私は、対象の人物を中心に半径約20mの範囲を見れる。対象の人物と同じ目線でも、違うところから見ることもできる。20m範囲内なら、好きなところにカメラを置いて見れる感じ。私は「観る」と言っている。
ただし、これは対象の人物から事前に了承をもらえないと使えない。更に、了承をもらっていても、対象が無意識にでも見られたくないと思うときは発動できない。例えば、トイレだとか、風呂だとか。
実際、了承をもらっているのはカリムとジャミル、あと私自身なので、その3人のまわりしか観れない。
普段私は、ジャミルやカリムと話すときは自分の周りに人がいないかユニーク魔法で確認してから話すので、周りに聞かれる心配が無いのだ。

この能力が使えるようになったことで、私はアジーム家のメイドから、カリム専属の従者となった。カリムがどこかへフラッと出掛けても、誘拐されても、状況を把握し、場所を特定することができたからだ。

「ところでアーヤ、カリムは何してる?」

「ええと。……動物を集めてるようね」

「パレードの準備は一応できているらしいな。それじゃあ、調達は頼んだ」

「はーい」

慌ただしく準備は進み、無事に宴は始まった。のだが、

「アーヤ!カリムがいない!今どこにいる!?」

「……ディアソムニア。シルバーくんのところね」

トラブル発生。
でもジャミルのフォローで、カリムの代案も無事に上手くいったようだ。

宴の裏方をしながら観るのに夢中だった。ジャミルが風の魔法で端切れと花を舞わせたことも、カリムを助けるところも。

「あー格好いい」

これが私の日常。私の特権。私の恋の視方。
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