• テキストサイズ

【ツイステ】ねえ、そばにいて

第13章 まどろみのはばたき


私は毎朝男装した上で、相手の認識をずらす魔法を自分にかけている。
男装していても、胸はあるし、喉仏はない。体格は女そのものである。獣人が感じる雄雌の臭いだって、雌の臭いがする。
そこで、この魔法で、女らしい特徴を男らしい特徴としてすり替えて相手に認識させている。ただし相手が、女だと確信している場合は、全く効果を持たない。だからジャミルとカリムにこの魔法は効かない。
でもここは男子校。皆が無意識に生徒全員男だと思っている。だから、魔法が良く効くし、少しユニセックスの香水を付けるだけでも、獣人の鼻を誤魔化せる、はずだった。
いや、今まではできていた。

思い出した。この人、レオナ・キングスカラーだ。
なぜ女だとバレたか。おそらく用心深く、いきなり刺客を処理した私を疑ったのだ。こいつは外部から来た刺客ではないか、と。先入観無しにゼロベースから観察されると、この魔法が効くかどうかは半々になる。そして決め手は臭いだろう。こいつは女臭いと。
所詮は一年生が使う魔法、強い魔法ではない。

だからこそ、余計な人や優秀な先輩には関わらないように、大人しく過ごしてきたのに!

私はジャミルのように優秀じゃない。ここで誤魔化すなんて無理っ!

判断してからの私は速かった。

「すみません!訳あって女だけど生徒です!事情を聞いてください!誰にも言わないでください!!!」

土下座してベラベラと全て(そう全てをだ)を話す私を、彼は引いた表情で見ていた。










「事情はわかった。あー、そこで倒れてるバカを処理したことには礼を言う」

レオナはマジカルペンを振って倒れている男を縄でぐるぐる巻きにした。

「だが、マジカルペンでナイフを叩き落とすのは感心しねぇな。素手はあり得ないにしても、マジカルペンが壊れたら魔法士として支障が出るかもしれないだろうが。ペンのその傷直してやる。寄越せ」

優しい人だ。助けた甲斐があったじゃないの。事情を話すのも、いい判断だったわね。
なんて思った時があった。私にも。

綺麗になったマジカルペンを返したレオナは、そして悪人面で笑った。

「今、俺とお前の間に貸し借りは無くなった。それで、何だったか。お前女なのか。俺がそれをまわりに言う言わないは俺の勝手だよなぁ。……あーデラックスメンチカツサンド食いてぇな」

私は即座に購買へと走り出した。

/ 65ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp