第100章 仮面の男と新たな仲間
「何してんだ?」
「風で周囲の様子を探ってるの。町とかがあれば修理も楽でしょ」
尤ももう再購入の方が良いと思うが。
そんなこともできるんだな、と感心するエースを尻目に水琴は風へ意識を切り替える。
見たところ町はおろか集落すらなさそうだ。
島全体が鬱蒼とした森に覆われ、浜辺は東側とここ、南側に二か所。その付近にも人のいる形跡は見当たらない。
北と西はどうかというと、崖や岩肌が見えるだけでやはり人の気配は無かった。
一通り偵察を終え、水琴は目を開く。
「ここ、無人島みたい」
「ってことは地道に材料探して修理だな」
「同時にサバイバルもね」
一番ハードモードになってしまったにもかかわらずエースはどことなく楽しそうだ。
彼にしてみればコルボ山での生活とそうそう変わらないのだろうからハードでも何でもないのだろう。
水琴自身も以前に比べればこういった事態を割とすんなり受け入れられるようになったような気がする。
恐るべしコルボ山。
現在ある食料を確認し(フライパンはひっくり返っていた。……)船内の設備に不備がないか点検する。
特に台所周りは故障していれば死活問題だったが、幸いにも問題なく使えそうだった。
船ごと流れ着いて本当に良かった。これで沈没していたら難易度が爆上がりするところだった。
「あとは飲み水の確保だな」
「私森の中風で探せるよ」
「じゃあ水琴は水源あるか探ってくれ。おれは適当に材木調達すっから」
「分かった」