第89章 もうひとつの家族
「「「俺達は独立する!!」」」
そう言って三人はダダン一家を飛び出したのだった。
***
ポルシェーミとの死闘からしばらく。
三人は自分たちだけで生活するとダダン一家の根城を飛び出し、少し離れた森の中に自分たちの住処を作り始めた。
いわゆる秘密基地というやつだ。施設の弟たちもよく作ってたなぁとしみじみと思い出す。
一応保護者なので放っておくわけにもいかず、水琴は家事の合間に様子を見に彼らの根城を訪れていた。
作業は順調に進んでいるようで、大樹の枝分かれした部分に基部が出来つつあった。
「お疲れ様。ご飯にしない?」
「やったー!食う!」
「こらルフィ!ダメだろ、おれ達は独立したんだから!」
水琴が声を掛ければルフィが喜んで駆け寄ってこようとするが、その首根っこをエースが掴み引き留める。
「もう飯は自分たちで調達するんだ。そう決めたろ」
「えぇ~?!水琴の飯食いてェ!」
「まぁ、今日はいいんじゃないか?せっかく作ってきてくれたんだし」
サボの言葉にエースもしょうがないという風に頷く。
どうにか持ってきた料理は無駄にせずに済んだようだ。下りてきた三人は水琴が広げた料理の周りに座り込む。
「どんなアジトを作るつもりなの?」
「えっとな、こうでっかい窓を作って、そんで__」
「ルフィ!ばらすなよ、三人だけの秘密だろ!」
楽しそうに話し始めるルフィの言葉をエースが遮る。
まぁまぁと宥めながらも、サボは水琴に対してごめんなぁ、と謝罪した。
「完成するまでは誰にも言わないって決めてんだ。だから水琴も出来上がるまではもう来ちゃダメだからな」
「そうなの?分かった」
サボの言葉に水琴は頷く。そして目の前で楽しそうにこの後どうするか相談する三人を黙って見つめていた。