第79章 サボ
「遅ぇぞエース!」
「悪い、遅れた」
「遅れたってことはそれ相応の成果があるってことだよな?」
「当たり前だろ。目ェ飛び出すなよサボ」
青い服を着た少年が巨木の上から手を振る。
それに応えながらエースは彼の待つ場所へ行こうと木に足を掛けた。
サボとは三週間前グレイターミナルで知り合った。
同い年にしてはやけに大人ぶった物言いに最初はいけ好かないやつと思ったが、同じように海賊に憧れていることを知り一気に意気投合した。
話してみれば話も合う。同年代の友達というのは初めてで、それからは毎日のように集まり、ごろつきから奪ってきた物やグレイターミナルで調達したものを見せ合うのが最近の日課になっていた。
ざらざらと本日の収穫を目の前にさらす。その量にさすがのサボも目を丸くしおぉ!と声を上げた。
「すげぇなエース!こんなにどうしたんだ?」
「最近端町に流れてきた奴から奪った。酔っぱらってたからラクショーだったぜ」
敵わねぇなぁと舌を巻くサボとともに宝を隠す。
エースが一人で細々と集めていたこの島を出るためのお宝は海賊貯金と名前を変え、サボと二人で集めるようになってから一気にその量を増やしていた。
見つからないように蓋をする。漏れはないか確認していたエースにそういえばさ、とサボが話しかけた。
「お前のとこの海賊さ、今日も無理なのか?」
「え?あァ~……」
サボの話題に視線を泳がせる。