第66章 とある発明家の話
「海賊には船、造ってくれない…?」
「__いいよ。なんか訳ありだとは思ってたし。白ひげは無用な争いはしないって話だ、この島に迷惑をかけないならそれでいい」
これでも発明家の端くれ、一度受けた依頼はやり遂げるさ、とやや自棄になりながらリオは答える。
「でも、それならそうと早く言えよ!知ってたらもっと色々やってほしいことがあったのに!」
「こき使う気満々だな」
「当たり前だろ!時間がないんだ。キリキリ働いてもらうからな!」
動揺していたのは一時のことで、すっかりいつもの調子を取り戻したリオに水琴とエースは顔を見合わせ笑う。
やや楽観的だが、こうなると分かっていてエースも軽々と正体を晒したのだろう。
リオは信頼できる。水琴も貴重な時間を割いてもらっている恩返しがしたいと思っていた。
「喜んでもらえてよかったね」
「だな」
「何してんだよ二人とも!時間は有限、早くしろよ!」
急かすリオに返事をし、二人も午後の作業へと戻っていった。