第65章 たとえ御旗は異なれど
「ルフィ」
出向の準備をしに船へ向かうルフィをエースが呼び止める。
「なんだ?エース」
「元気でな」
「おう、エースも!」
にかりと笑うルフィの顔にはさっきまでエースと一緒に行きたいと駄々をこねていた様子は微塵も見られない。
そのことにエースは安堵とともに少しの寂しさを覚える。
突き放したのは自分のくせに。おれも大概ルフィのことは言えねェな、という言葉は内心に留めておく。
「じゃあな。…次に会うときは、海賊の高みだ」
早く来いよ、と告げるエースに任せろ!と力強く頷くルフィ。
「ルフィー!行くわよ!」
「おう!」
ナミの言葉に今度こそルフィは仲間の下へ向かった。
その背を見送り、傍らの存在へ目を落とす。
大きく手を振り見送っていた水琴が視線に気付く。
「なに?」
「いんや、別に」
さー、行くか。とぐしゃぐしゃと頭を撫でエースもまたストライカーへ向かう。
「ちょ、髪ぐしゃぐしゃになる!」
「どうせ海に出たら同じだろ」
「それでも女の子は気にするんですー!」
「そりゃ悪かった」
「絶対悪いって思ってないでしょ!」
ぎゃいぎゃいとじゃれ合いをしながら二人はルフィたちへと背を向けた。