第63章 絶望の中に見える光
「お前はこの事実を知らねェ方が、幸せに死ねただろうに」
「………っ!!」
「聞くなコーザ!!」
足元が崩れ落ちるような錯覚に陥るコーザをコブラの声が引き留める。
「お前にはまだやれることがある……一人でも多くの国民を救え!」
「__アと、半時モせズ…宮前広場が吹き飛ばされル……」
「チャカ……!」
「まだ息があったか……」
ぎらりとクロコダイルの鉤爪が光る。
今まさに命を刈り取ろうとしている死神の鎌には目も向けず、チャカは未来を託すため声を振り絞った。
「急げ!!」
チャカを貫く音を聞きながら、コーザは踵を返し走り出した。
早くこのことを伝えねば。
伝え、そして……!
「ダメよっ!!」
コーザの進路を妨害するようビビが飛び出しコーザを地に押し倒す。
「おい!どけビビ何のつもりだ!!これから戦場になる広場が本当に破壊されたら…っ」
「戦場にはさせない!!」
怒鳴るコーザの上をいく声量でビビが叫ぶ。
「あなたはまだ気が動転してるのよ!広場が爆破されることを今国王軍が知ったら、広場はパニックになる!
そしたらもう戦争は止まらない!誰も助からない!!」
ビビの言葉にコーザに頭を殴られたような衝撃が走る。
戦争という異常時に、逃げ場のない状況。
そこにさらに火種を放り込めば、混乱は必至だった。
そんな簡単なことにも気付かずにいた己が、ビビの言うとおり動揺していたことにコーザは気付く。
「やるべきことは始めから決まっているの。この仕組まれた反乱を止めることよ…!」