第60章 目指せアルバーナ
「ルフィ。助けは必要か?」
「いらねぇよ」
「……そうかよ」
エースの申し出すら断るルフィにエースはふっと笑みを浮かべる。
「火拳……白ひげがこの国に何の用だ。国盗り合戦に参戦でもする気か」
「勘違いするなよ。おれァ別にお前をどうこうするためにこの国に来たんじゃねェ。
__だがよ、」
地に押し付けられるような殺気がその場にいる全員を襲った。
わずかにでも動けば一瞬にして燃やされてしまうと錯覚するような強烈な殺気に、ゾロやサンジの頬を汗が伝う。
間合いからは外れている。視線を向けられているわけでもない。
それでも己に突きつけられているのは絶対的な死の気配だった。
呼吸すら止めてしまうエースの殺気に呼応するように何もない宙に火の粉が舞う。
「もしお前が異世界の民《こいつ》に手を出すってんなら…
そんときゃ白ひげ《親父》の名にかけて、お前を殺す」
そこにいたのはルフィの兄としての顔ではない、まぎれもない白ひげ海賊団二番隊隊長の姿だった。