• テキストサイズ

【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第54章 友達だから






 「ここにいても、お前が白ひげとして出来ることは何もない」
 「………」
 「その上で、お前はここでどうしたいんだ」



 エースの問いに口を噛みしめる。

 悔しいが、エースの言うとおりだ。


 私がここにいたって、何も出来ない。






 「なんだよー。エースも水琴も、仲間になればいいだろ?」
 「ルフィ、お前はちょっと黙ってろ」
 「あんたは黙ってなさい!」


 兄と航海士二人に言い渡され、むぅと口を尖らせる。

 

 何にも縛られないルフィが少し羨ましく感じる。


 兄が処刑されようとする時、全てを振り切って駆け付けたように。


 きっと、これから先、彼の信念が曲げられることはないのだろう。



 ……そんなルフィに、少し勇気づけられる。





 「………だから」
 「ん……?」



 ぽつりと漏れた水琴の言葉をエースが聞き返す。


 今度はしっかりと聞こえるように、水琴は俯いていた顔を上げた。



 「確かに、私達は白ひげで、海賊だよ。…だけど、ビビは。
 ビビやナミは、私の、初めてできた“友達”だから」


 モビーのナースのような、憧れのお姉さんでもなく。

 妹として可愛がってくれるクルーのような、家族でもなく。


 初めて同じ目線で、他愛のない話を言い合える、女友達。



 
 「海賊としてじゃなくて、友達として。何も出来ないかもしれないけど、見届けたい。
 ……それじゃ、だめ?」


 何も出来ないかもしれない。

 私がいても、何も変わらないかもしれない。



 それでも、傍にいたい。支えたい。



 友人の行く先を、この目で見届けたい。



 じ、とエースの目を見る。想いが伝わるように。

 エースもじっと水琴を見返す。



 その様子を、麦わらの一味は固唾を呑んで見守った。



/ 1122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp