第53章 火拳のエース
「やっと、着いた…」
ルフィの手から逃れ、自分の足で店先まで辿り着いた水琴は首を捻る。
なんだか、店の中が騒がしい。
ばぁぁああん!!!
「麦わら、待ちやがれェ!!」
「はぁっ?!」
「もがもが!!(水琴!!)」
考え込む水琴の前でドアが開く。
そこから口を一杯にしたルフィとそれを追うように誰かが飛び出してきた。
その見覚えのある姿に目を丸くする。
「スモーカーさん?!」
「水琴…?!」
あっちもあっちで突如現れた水琴に驚く。
「むがむが!(逃げるぞ!)」
「あ、ちょっと!」
目の前にいた水琴の手を取り、ルフィは走る。
ちらりと後ろを見ればスモーカーがすぐ近くまで迫っていた。
新世界のとある島で助けてもらったことを思い出す。
しかし、水琴の正体を知った今では見逃してはくれないだろう。
なんでこんな目に…!と水琴は歯を食いしばり走る。
と、目の前にもう一人見覚えのある人物を見かけた。
「たしぎぃ!」
スモーカーが名前を呼ぶ。うげ、と水琴は顔を歪めた。
「あ、スモーカーさん。タオルですか?この国暑いですよねー」
可愛いけど今は萌えてる場合じゃない!
「麦わらだ!そこを通すな!俺が捕まえる!!」
「!!麦わら…っ」
へらりと笑っていた様子が一変。
すらりと刀を抜き構える。
振りかぶった刀を避けるようにルフィは跳躍した。
「ひゃあっ?!」
手をひかれた状態で水琴も同じように宙を飛ぶ。
肩!肩抜ける!!