第51章 空に舞うは桃色の雪
「…ナミ、それは?」
「宝物庫の鍵だったらよかったのに」
くるん、と鍵を指先で弄ぶナミを見て溜息をつく。
「私ルフィを追うね。ナミは部屋に戻ってて」
「気を付けてね」
ナミに見送られルフィを追う。
ルフィは塔の天辺でワポルと対峙していた。
「死ねぇぇ!!麦わら!!」
「おわぁぁぁあああ!!!」
ワポルの口から伸びる大砲に狙われ絶叫するルフィ。
水琴は思わずその首根っこを掴んだ。
「水琴?」
「危ないよルフィ」
ふわり、と天井近くまで浮き上がる。
「サンキュ!」
「あと大丈夫?」
「おぉ、任せとけ!」
すっかりルフィをやっつけたと思い高笑いしているワポルめがけて飛び降りる。
「んなっ?!」
「油断したのはお前だ、じゃまぐち!」
ぐるぐるとルフィの腕が捻じれる。
「ゴムゴムのぉ…プロペラ!!」
びゅんっ!!と鋭い風と共に水琴の横をワポルがすり抜けていった。
そのまま天井を突き破る。
飛び出したワポルの目の前には、海賊旗。
昔、一人の藪医者が掲げた信念の象徴。
「終わりだ、じゃまぐち」
いつの間にか外へ出ていたルフィが、ワポルの目の前に立つ。
「お前みたいなやつが、軽々しく海賊を語るな」
「ま、待て!この国の護衛隊長の地位をやろう!いや、大臣の座を…」
命乞いをするワポルを無視し、ルフィは腕を思い切り伸ばす。
「いや、副・国王の座を…!」
「バズーカァァアアア!!!」
どがぁぁあああ!!とものすごい音を立ててワポルへ命中する。
メリー号での出来事をなぞるように、ワポルはものすごい勢いで空へと消えていった。