第24章 託された想い
そこには白い世界が広がっていた。
細かな模様が浮かぶ白い砂地に、転々と一見無造作に置かれた大小様々な大きさの石。
__これは。
この、庭は。
記憶を刺激するその光景に水琴はしばし呆然とする。
「お、あっちに戸口あるな。もしかしたらあっちから出たのか?」
背後の水琴の様子には気付かず、エースは庭の向こうに見える戸口へ近寄ろうと一歩踏み出した。
その足が白い砂地に触れそうになる。
「っ!エース、駄目…!」
「お前ら!!何してる!!!」
咄嗟にエースを止めようと声を上げた水琴に被せるように大きな怒声が響く。
それに反射的にエースは足を引き振り返った。
荒らされることがなかった庭にほっと水琴は息をつく。
そしてエース同様振り返った。
視線の先では大柄な男が二人を睨みつけている。
どうやらこの敷地の関係者のようだ。怒っている様子に水琴はまずいと冷や汗を流す。
「断りもなく庭に入って、お前らどういうつもりだ!ここは個人宅だぞ」
「す、すいません!ちょっと、人を捜していて…」
そこまで言い、水琴は男の背後に隠れた小さな影に気付く。
「その子…!」
水琴の声に驚いたのか、少女はさっと男の影に入ってしまった。
「なんだ、お前らうちの娘に何の用だ」
「あ、いえ!別に怪しい者じゃ…!」
「__さっきから何騒いでんだ、喜助」