第104章 サバイバルマッチ
「なァダグ。これは提案なんだが、お前この船に乗る気はないか」
「なに……?」
「リリィの島が見つかるまででもいい。見て分かる通りこの海賊団は人員不足だ。仲間になってくれりゃあ助かる」
「だが、そこまで迷惑を掛けるわけには__」
「こっちが誘ってんだ。迷惑なわけねェよ」
「それに水琴は放っておけないみたいだしな」
キールの言葉に水琴はだって、と口をとがらせる。
「……道具みたいに扱われる気持ちは、知ってるもん」
初めて異世界の民と知り、狙われた時のショックと恐怖が水琴の中に薄らと甦る。
まだ十くらいの幼いリリィを見つめ、水琴は呟く。
「放ってなんて、おけないよ」
「__どうする、リリィ」
ダグはリリィへと視線を合わせ問い掛ける。
「彼らは信用できる海賊だ。だが、もし君が海賊と共にいることが嫌なら、わたしは__」
「大丈夫」
ダグの言葉をリリィはきっぱりと遮る。
「分かるよ。この人たちは大丈夫。私も、ダグに負担掛けたくない」
みなさん、とリリィはエースたちへ向かい合う。
「改めて、歌詠みのリリィです。島に帰るまで、どうかよろしくお願いします」
「ダグだ。これからよろしく頼む」
「おう」
がっちりとエースとダグが手を合わせる。
ダグとリリィを仲間に加え、ピースオブスパディル号は次の島へと向かう。