第103章 グランドラインへ
危なかった、と水琴は息を吐く。きっと 水琴が思い出さなかったら誰も気付かぬうちにログポースなしでグランドラインへ突入していたところだった。
「買っておいた方がいいよね」
値段を見れば今の手持ちでも十分に足りる。扉を押し、水琴は店内へ足を踏み入れた。
「いらっしゃい!うちのログポースは一級品ばかり。デザインも色々あるよ、好きに見ていってくれ」
カウンターに座る職人が水琴へ声を掛ける。確かに基本的なデザインは同じだが盤面に模様が施されていたりベルトが凝っていたりと個性的な品も多い。
あまり見たことがないデザインを楽しみながら、水琴は品々を見て回る。色々あったものの、シンプルでベルトが頑丈そうなものを手に取った。
自分が持つならいいが、トウドウらが持つにはやはりシンプルな方がいいだろう。万が一の予備の為に二つ手に取る。
「これください」
「はいよ」
会計を待つ間、水琴は店の隅にある棚へ目を移す。
そこには不思議な光を宿した鉱石が並んでいた。
なんだかその光を見たことがあるような気がして水琴はしばし記憶を探る。
「お客さん。それに興味がおありで?」
「あ、いえ。綺麗だなぁと思って」
「お目が高い!そりゃこの辺りじゃ珍しい特性を持つ鉱石だ。時を封じ込めるって言われてて、どんなものでも永遠に残しておけるって話さ。グランドラインの一部の海域でしか採れないらしい」
「どんなものでも?」
「あぁそうさ!聞いた話じゃこれで作った入れ物に入れておきゃあ食材や水はもちろん、炎や命すら永遠に閉じ込めておけるらしい」
「へぇ……」