第1章 闇の鍵と無の組織
「シオン、そっちはどうだった?」
俺が聞くと、彼女は俯いた。
「やっぱりこっちにもいなかった」
その場にいた者は皆ため息をついた。
その時だ。
俺たちが集っているところに長めの青髪に額の傷が印象的な男が現れた。
「新たなワールドが発見された。もしかするとデミックスはそこにいるかもしれない。この場にいる全員、奴の捜索とともにそのワールドの調査を、とボスからの命令だ」
新たなワールド。どんな場所だろうか。
そこにデミックスもいればいいのだが。
「仕方ないわねぇ、行けばいいんでしょ行けば」
「ボスから任務を与えられたというのにその態度、嘆かわしい……」
「煩いわね、あんた真面目すぎんのよゼクシオン。見ててイライラするから視界に入らないでくれる?」
「おいおい、喧嘩してる場合じゃないだろってハナシ」
先が思いやられるな、と思いながら俺とアクセル、そしてシオンは苦笑いしながら顔を見合せた。
「置いていきますよ」
ゼクシオンがそう言って回廊に入って行くのを見て、俺たちも遅れないよう急いでそこに飛び込んだ。