第1章 闇の鍵と無の組織
「い、いやぁ、今日はとってもいい天気だよな〜、なんて……」
その黒コートの男は、目を泳がせながら物影から現れた。
全くもって誤魔化せていない誤魔化しを受け流し、俺は自分の武器、ウェイトゥザドーンを構える。
「ここに入ってから、ずっと強い闇の匂いを感じていたんだ。……何が目的だ、ここでの事件もお前らの仕業なんだろ」
「う、うわ、やめろって。俺は戦闘員じゃないし! 何もしないから許してくれよ〜」
「ふざけるな。心がないお前たちのそんな言葉を信用できるわけがない」
するとそれまでヘラヘラしていた男は、ふっと表情を変えた。
「黙れ、偽物」
そいつは大きな弦楽器を出現させると、それを振り下ろして攻撃してきた。
「お前たちはさっさと逃げろ!」
後ろでポカーンとしている一同に向かって叫ぶと、彼らはハッとしたように宝石の着いたペンを構えた。
「何やってるんだ、早く──」
俺は何をしようとしているのか分からず、焦って言葉を続けようとする俺に、その隙をついた奴が攻撃をしようとしていることに気がつけなかった。
しかしその攻撃は俺に当たることはなく、代わりに奴の叫び声が上がった。
「いってぇ!」
「なっ!?」
驚いて敵の方を向くと、そいつは腹を抑えながら回復魔法を自らにかけていた。
「お前たち、戦えるのか?」
俺はまた彼らの方を振り向き、そう聞いた。
戦力は多い方がいい。
「ここをどこだと思ってるんだ? 名門魔法士育成学校、ナイトレイブンカレッジだぞ」
「んで、オレたちはその生徒」
「とーぜん魔法も使えるんだゾ! ユウ以外はな」
「お前らテストの結果は散々だけどな」
ゔっ、という声を3人が上げユウが苦笑するとまたその隙を突こうとした奴が襲いかかってくる。
「なんの騒ぎですか!」
しかしそれは、駆け込んできた1人の声によって止められた。