第1章 闇の鍵と無の組織
──XIII機関拠点、存在しなかった城。
そこでは、失踪した仲間を捜索に行った者達が困惑したように顔を見合わせていた。
「おかしいな、これだけ探しても見つからないなんて」
戻ったばかりの俺は、疲れきった声でそう言った。
俺は、オリンポスコロシアムを捜索していたが彼の姿はなかった。
彼は前にそこをサボり場所として使っていたのであり得ると思ったのだが。
「なんで私があんなやつの為に……。どうせ裏切ったんでしょう? 元々さぼり魔だったんだから」
イライラした様子で金髪の女が言った。
「それは無いだろラクシーヌ。いくらあいつでも裏切るなんて馬鹿なマネはしないってハナシ」
長い髪を後ろで縛った髪型に、眼帯をした男がつまらなさそうに返した。
「シグバールの言う通りだろうな。じゃなけりゃ、こんな大人数うちのボスが割こうとするわけがない」
ハリネズミのような赤毛の男が同意する。
「僕もアクセルと同じ意見ですね。……それにしても、彼は本当にどこに行ったのでしょうね。今まで訪れたワールドは、ほぼ全て確認済みでしょう?」
長く伸びた前髪で片目が隠れている男が皆に確認するようにそう言った。
するとその時、その場に突然闇の回廊が現れた。
一同は特に驚く様子はなかったが、そちらに注目した。
そこから現れたのは俺と同じくらいの歳の黒髪の少女だ。