第1章 闇の鍵と無の組織
「はあっ!」
誰かの声が聞こえ、恐る恐るまぶたを開くとそこには先程と変わりない2人の姿があり、そして影がいたはずの所には1人の黒いコートを着た男性の姿があった。
その黒とは対象的な白に近い銀髪がよく映える。
こちらを振り向いたその人は、黒いハチマキのようなもので目を隠している。
それで前はちゃんと見えているのだろうか。
「俺たち、生きてる……よな?」
「た、助かった……」
僕達も安堵のため息をつく。
すると、その黒コートの人がこちらに歩いてきた。
「あ、ありがとうございました」
みんなで頭を下げてお礼を言うと、その人はふっと笑う。
「間に合って良かった。……ところで、俺と同じコートを着たやつを見ていないか?」
どこかでそんな人見ただろうか。
でもみんな制服なのにその中でこんな真っ黒いコートの人がいれば気がつくだろう。
みんなで首を傾げる。
「……その様子だと見ていないみたいだな」
「悪いがその通りだ」
デュースが答えると彼はため息をついた。
「そうか。もし見かけたら、すぐに逃げろ。無いとは思うが、あいつらに襲われたらおわりだ」
「は、はあ……?」
何やら物騒な物言いにキョトンとしていると、彼はその場を去ろうとした。
しかし、僕がそれを遮る。
もしかすると、今回の事件は彼が鍵なのかもしれない。
「少し、話を聞かせてもらってもいいですか?」