第1章 闇の鍵と無の組織
「やっば、どうしよ。確実にサイクスに説教されるやつじゃん、これ」
とは言ったが、正直サイクスに怒鳴られるのなんて日常茶飯事なのでいい。
しかし、それどころじゃない。
俺は今、困っている。非常に困っている。
何が起きたかというと、それは今朝任務が言い渡された直後のことである。
俺はいつも通りサボろうと闇の回廊を開いて任務に行くフリをしつつ、言い渡された任務地と全く別の世界へ繋がる道を歩いていた。
どこに繋がるかなんて知るわけが無い。要はサボれればどこだっていいのだ。
「んー、ほんとに全然知らないとこに来たっぽい?」
闇の回廊を抜けた先、そこは真っ暗な部屋だった。
真ん中には鏡。周りには棺。
後にここに闇のキーブレード使いが訪れることを俺は知らない。
「ま、今日はここでいっか」
手を頭上にかざすと水が集まり水球になって弾けると、弦楽器であり武器のシタールになる。
俺はそれをいつものようにかき鳴らしはじめる。
そうして数時間が経ったが、いつもなら現れるはずの俺捜索隊が一向に姿を見せない。
おかしいな、と思いつつそのまま任務をサボり続け、いよいよ普段帰還する時間になり帰ろうという時、ようやく非常事態に遭遇していることに気がついた。
いくら手をかざしても、回廊が開かない。
ということは……。
「もしかして、俺帰れない!?」