第1章 闇の鍵と無の組織
闇の回廊を抜けると、そこは見知らぬ世界だった。
目の前には大きな鏡。それを取り囲むように宙に浮かぶ棺。
暗いその部屋に、俺は立っている。
俺にとって異世界に行くなんて日常茶飯事のようなものなのだが、今回は何か違う、と何となく感じた。
「ここに、XIII機関がいるはずだ…」
俺は俺と同じ闇の匂いを辿ってここに着いたのだ。必ず彼らはこの世界にいる。
誰か、までは分からない。
しかし、あの組織の構成員であるならば俺は追わねばならなかった。
全ては親友の目覚めのために。
「呼んだところで出てくるはずがない。地道に探すか」
幸い、まだ匂いは濃く漂っている。
本当に、今までそこにいたのではと思うくらいに。
「…なんで、こんなに匂いが濃いんだ」
明らかに、その匂いは14人分を超えている。
やはり何かがおかしい。
「悩んでいてもしょうがない。とにかくこの部屋から出て探るしかなさそうだな」
大きな扉の方へ歩いて行くと、周りで黒い影のようなものが蠢いた。
その気配に気が付いた俺は、戦闘準備に取り掛かる。
俺は自分の手の中で生まれた実体のない闇が剣に変わると、それをしっかりと握り構えた。
「その前におまえたちからだ、ハートレス!」