• テキストサイズ

戦乱の蝶姫

第21章  情報の開示


トットッ…

「そういえば、信長様が今日はあの少女に話を聞く場を設けるとか言っていたわね。…本当にやるのかしら?」

「どうでしょう、あの方は気まぐれですから。…でも、もしやるとしたら反対です。…武将ならまだしも、姫様が同席するなんて危険です。」

「…陽、心配かけるわね。」

「もう、心配をかけて欲しいとは思いましたが、今私はその言葉を、後悔しております。……はぁ…。」

今、陽と安土城の廊下を歩いている。昨日のことを陽に話したら、すごく心配された。お怪我は無いですかとか変な輩は居ませんでしたかとか色々。今朝から聞かれすぎて本当に疲れている。まあ、心配を掛けてしまったし仕方が無い。大人しく聞いていた方がいいと思って、さっきまで陽のお説教を聞いていた。…正直、いい加減診療所を始めたいのだが、信長様が貴様も手伝えとあの場で言ってしまったせいで、この問題から抜け出す事ができない。…あの時、聞かなければよかったと今は後悔している最中だ。

「…陽、そんな事言わないで。私は、あの言葉が凄く嬉しかったんだから。」

「…ゔぅ、そ、そんな言葉にいつまでも騙されませんからね!今回だけですよ、今回だけです!」

陽は拗ねた顔をして此方を見てきた。流石に申し訳ない事をしたかなと思いながらも、信長様の事だからまたどっかに連れて行かれて、陽が怒る様が目に浮かんだので黙っている事にした。

「姫様、いらっしゃいましたか。」

「ええ、お取次して。」

「畏まりました。」

外で控えている女中の子に声を掛けて襖を開ける。其処にはズラッと安土の武将が全員集合している様で、圧巻だった。何処か空いている席はないかと探していると、家康さんの隣の席が空いていた。其処が空いているということはやはり…。……その隣では政宗さんがニコニコと笑っていた。

「…よお、旅はどうだった?楽しめたか?」

「…一日でとんぼ返りしてきた人にそれ聞きます?」

「わりぃ、わりぃってそんなに睨むなよ。悪気はねぇーぜ?」

「…どうでしょうかねぇ?」

政宗さんとニコニコしながら話を進めていると、不機嫌そうな声が隣からした。

「…ちょっと、隣に座ったらまず挨拶しないの?常識でしょ?」

家康さんが苛立ちながら聞いてきた。此れは少しだけ拗ねているだろう。

「ふふっ…おはようございます。家康さん。」

「…おはよう。」

/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp