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戦乱の蝶姫

第20章  寺と鎖


「ふふっ…ありがとうございます。今度は頼れるようにして下さいね?…皆、全滅は困っちゃいます。」

私が微笑みながら言うと、苦笑いをした秀吉さん。

「…やっぱり、お前はいちいち感に触る事を言うなぁ…。」

呆れたように呟くものの、何処かスッキリしている秀吉さん。

「…つ、次はもっと強くなってみせます!」

はっきりと此方を向いて言う炭明君に圧倒されながらも、できるといいですねと応えておいた。

「ふっ…もう話は終わったか?…さっさと城に戻り、この娘の身柄を調べねばならん。」

信長様が私達の会話を外から見ており、愉快そうに此方を向いていた。

「…はっ!お館様をお待たせしてしまい申し訳ありません。急いで準備致します。」

そう言うと、秀吉さんは死体への供養や寺の住職への挨拶を済ませて急いで戻ってきた。…流石、信長様信者です。人間離れした速さですね…。私が驚いて見ていると、此方の準備も整ったと炭明君が言い、私達も馬に乗った。因みに、先程の少女は秀吉さんの馬に乗せている。危ないと言ったが他に最善が無く、取り敢えず手首と足首を縛っているから大丈夫だろうという事になった。

「…本当に、大丈夫何ですか?その運び方…。」

私はやはり心配で秀吉さんの方を見た。すると、彼は笑って答えた。

「…そんなに心配するな、お前らしくない。いつもなら、一番に文句を言うのが俺の筈なのに随分と優しいんだな?」

「…私だって、状況の判断くらい出来ます。一応生かしておきましたけれど…また、襲ってくるでしょうし…その、心配なんです。」

私は明後日の方向を見て、最後に呟いたので彼がどんな顔をしているか見れないが予想はつく。

「大丈夫だよ、心配するな。俺は、そんなに弱くない。」

秀吉さんの言葉に何故だか安心感を感じた。まるで、全部良くなるようなそんな気がした。






「「「おかえりなさいませ、お館様。」」」

「ああ、今帰った。留守の間、変わったことは?」

「問題はないかと。」

「…分かった、ご苦労だ。下がって良い。」

「承知致しました。」

その言葉の通り、安土城に着くのは夜遅くになったが無事につくことができた。私は、安心して秀吉さんの乗っている馬を見る。少女はまだ、眠り薬が効いているようでぐっすり寝ている。私達はそんな彼女をどうするか決めるために、安土城の天守に向かった。
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