第26章 敵の狙い
「多分いないだろうけど…」
佐助君が困惑した様に辺りを見回す。
見た感じ、人が住めるような場所ではない。
恐らく隠れ家と言った所だろう。
「扉は開くの?」
家康さんが怪訝そうな顔をして扉を見つめた。
どうやら扉は引くタイプではなく押すタイプのようだ。
「…斬るか。」
「…仕方がありません、今回ばかりは俺は何もいいません。…宜しくお願いします謙信様。」
珍しく謙信様を留めない佐助君に驚きながらもそれを聞いた謙信様は満足そうに口角を上げ、刀を構えた。
「ふん…!!!」
バキッ!!!!
寂れていた古木が折れて、扉が壊れる。
さっきからあっさりと斬ってしまう将軍達に驚きながらも、斬られた後の部屋の中を見た。
その瞬間だった
「っ…血の匂い…!!」
「…これは何とも惨いですね…。」
その奥にはテーブルと椅子という珍しい物がある横には何十人と重なった死体があった。
そのあまりの異臭に、たじろぐ私の背中を家康さんが支えてくれた。
「…っと、大丈夫?平気?」
「…、なんとか。…それにしてもこれはどういう事でしょうか?」
私が見るのも悍しい死体の山を見ていると信長様が険しい顔をした。
「…こ奴らは俺の配下の者たちだ。連絡が取れないと思っていたら……ちっ、これ程までにやるとは。相手を見くびっていたようだ。」
苦虫を潰したような顔をしながらも、一人ひとりに手を合わせている信長様だった。
「…どうしますか、この後。」
佐助君が生存者の確認をした後、こちらを向く。
「この部屋に何か手がかりになるものは無いか探しませんか?」
「それが無難だね。」
私の提案に皆さん納得してくれたみたいで、頷いてくれた。
「…ゔ〜ん、見つかりませんね。」
「みたいだね、随分と手際がいい奴らだ。」
面倒くさそうな顔をしながらも真剣な声色をしている彼に同意すると謙信様が何かを持って此方に来た。
「…?何なんか見つかった?」
「……?謙信様?」
「…地図を見つけた。恐らく、お前たちが今まで戦っていた場所の地図だ。」
「「…っ!!!」」
その地図があるって事はやっぱり私達の行動を予期していた?
それで城に攻め込んだ?
でもどうやって?
ここは地下
司令はどうやって通す?
私が悶々としていると、鶴の一声が響いた。