第19章 鋼と牙を持つ者
ザッザッ…
「…で、何故私は秀吉さんと城下を歩いているんですか?」
隣でニコニコと歩いてる彼に目を向けた。
「…そういえば、お前と二人っきりで話したことがなかったと思ってな。だったら、信長様の金平糖を買う序でに、一緒に行こうと思っただけだ。」
「…はぁ。そうですか。」
私は、信長様の大好物の金平糖が無くなったというので一人で買ってくればいいのに、何故か秀吉さんとお買い物で診療所の方は今日は定休日である。陽は、家康さんのところに何か用事があったみたいで、今回は着いてきていない。
「そんなに暗い顔をするな。金平糖は手に入れたから、何か買ってやるよ。」
「…私、子供ではありませんよ?からかってますよね?」
私は彼にジト目を送ると、彼は笑って返した。
「…済まない、言葉のあやだ。…この間のけんこうしんだんの時に無理言って頑張って貰ったからな。せめてものお礼をしたいと思って連れてきたわけだ。」
少し困ったように笑う彼、私は呆れたように笑いながらも、彼に話しだした。
「…仕方がありませんねぇ。何か、美味しい食べ物でも奢ってくださいな。」
「フッ…わかった。丁度、其処に見える団子屋のみたらし団子が絶品なんだ。食べに行こう。」
そう言って、彼は私には片手を出した。私は彼の手を取り、彼の進む先に進んで行った。
「いらっしゃいませー!…あら、秀吉様じゃないの、いらして下さるなんて嬉しいじゃないかい!…そちらのお嬢さんは?」
団子屋の女将さんと呼ばれそうな人が私達を見かけて話しかけてきた。
「ああ、この方は安土の蝶姫のしのぶ様だよ。今、城下で噂になっているだろう?」
秀吉さんが私の紹介をしてくれた。やっぱり、姫なので敬語なんですね。
「ああ…何処かで見たことある方だと思ったら!…先日は、主人を助けて頂き本当にありがとうございました。」
女将さんが頭を下げてくれた。
「いえいえ、医者として当然のことをしたまでですよ。」
「ありがとうございます。是非、ゆっくりしていってくださいな。」
「ふふっ…はい、お団子楽しみにしていますね。」
私がそう言うと、女将さんはにこやかに笑い外の席に案内してくれた。
「…そういえば、秀吉さんって私の事、凄い疑っていませんでしたっけ?…もういいんですか?」
私は秀吉さんの方を見て、彼に尋ねた。