第7章 変えてしまった歴史
……っどうしましょう。助けてしまったものは仕方がないですし、今更炎の中にお帰りいただく訳にもいきませんよね…。私は、チラッと目の前の二人を見た。…やっぱり嘘を付いているようには見えないですし、ということは…、私…ひょっとしたらやってしまったかもしれません……。
歴史を変えるという大罪を!!!
流石にまずいですよね…姉さんっ!!私がオロオロとしていると、それに気がついた信長さん…いえ、偉い人なので、尺に触りますけれど一応、信長様と呼びましょうか。…その信長様が何か思いついたようにこう言った。
「クックックっ…貴様、先程から俺に喧嘩を売るような言葉を重ねていたにも関わらず、そんな顔を見せるとはな…。ふむ…。決めたぞ、しのぶ。…貴様、天下人の女にならんか?」
「……はぁ?」
…失礼。今有り得ない言葉が聞こえたもので、ついいつもと違う言葉が出てきました。うっかりです。
「お館様!それは、流石に…っ!」
咄嗟に慌て出す少年を無視して、信長様は更に続ける。
「黙れ、炭明。俺の命令は絶対だ。俺をあの炎の中から救い出した女だ。随分と生意気だが、先に助け出された炭明を見る限り腕は確かなようだ。それに、身体能力もかなり高いと見た、この女以上に俺の側にいて劣らない女などいるはずがない。」
…さっきから、何勝手に自分一人で決めてやがるんですかこの男は!!私の意見も聞かずに、本当にどいつもこいつもですよ!私は笑顔の仮面が崩れそうなほど目の前のこの男に苛立っていた。
後ろから、馬の足音が近づくことにも気づかずに。
「お館様!!ご無事ですか?!」
「ご無事ですか?!信長様!!」
「…漸く、来たか。猿、政宗。」
突如として背後から現れた、これまた随分と豪華な服装、いや武装と言ったほうが正しいのでしょうか?
緑色を主体とした武装をした、茶色い髪の男と青色を主体とした武装をして、眼帯をつけた焦げ茶の髪の男が現れた。…っあぁ!もう、面倒くさいですね!!!
じっと見ていると、茶色い髪の男と目があってしまった。
「っ…!曲者!!」
突如として、その男は私に切りかかってきた。もう!何なんですか、いきなり!!私は、その太刀筋を読み、さらりと蝶の様にかわした。
「小癪なっ…!!」
その男は、私に向かって更に踏み込んで切ろうとした。…この男、沈めてやりましょうか?