第19章 鋼と牙を持つ者
チュンチュン…
とても疲れました。一昨日に、春日山城の方に会ったあとに家康さんに何処に行っていたのか問い詰められました。陽なんか、全部包み隠さず言おうとしていましたし。そんなに、信玄様が嫌いなんですね。…何故か、家康さんは陽に耳元で話されたあとに、真っ赤になって逆ギレしてましたし。…何なんでしょうか、一体?
「おはようございます、蝶姫様。」
「おはよう、陽。…それから、皆。」
「「「おはようございます、蝶姫様。」」」
私はいつもと同じように支度をして、大広間に向かった。
「おはようございます、家康さん。」
「…っお、おはよう。」
「…?何でこっちを向かないんですか?」
「っ…別に、あんたには関係ないから…!」
何故か、私の顔を見るたびに顔を真っ赤にするようになった家康さん。…何なんでしょうか?多分、陽が彼に何かを言ったあとですよね?
「…陽に何かを言われました?」
そう言うと、彼はビクッと肩を動かした。…図星みたいですね。
「ふふっ…一体何を言われたんですか?」
ニヤニヤしながら彼の顔を見ると、彼は顔を真っ赤にしながら私を睨んできた。
「うっ、煩い…!話しかけんなっ…!」
そういった後、彼は一度も私の方を向かずに朝餉を食べていた。……訳がわからないのですが、後で陽に聞いてみますか。
「…光秀、あの案件はどうなっておる。あの一族の生き残りはまだ見つからないのか?」
「…申し訳御座いません。中々足が掴めず…。」
「…忌々しい連中だな、どうしたものか。」
信長様と光秀さんが何かについて話しているのが聞こえた。
「…信長様、あの一族の生き残りとは一体?」
「…聞こえていたか、しのぶ。」
「…私には教えては頂けないのですか?」
取り敢えず、なんの事なのか知りたいので、聞いてみることにする。
「…お館様、教えても宜しいのですか?」
「…クックックっ、構わん、しのぶにも手伝って貰うことにしようではないか。」
悪巧みをしている目ですよ、あれは!聞かなければ良かったと後悔していると、話し出したのは秀吉さんだった。
「俺から話そう。…お館様は今、ある者を追っておられる。…それは嘗て、戦に置いて負け無しと謳われていた、最強の戦闘民族【鋼牙】(こうが)の生き残りだ。」
秀吉さんは淡々と事柄を述べ始めた。