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戦乱の蝶姫

第18章  新たな出会い


「…美しい天女、君の名前を教えておくれ。」

「姫様!このような男に名前を教えてはなりません!姫様が穢れます!!」

「…それは随分と酷い言い草じゃないか、…なるほど、天女が安土の蝶姫か…。ぜひ君の名を聞かせておくれ。」

「ふふっ…胡蝶しのぶと申します。よろしくお願い致しますね、信玄様。」

「…っ。何故俺の名を知っているのかな、美しい天女?」

「だって、あなたの忠臣が教えてくれましたもの。ねえ、幸村さん。」

私は背後で信玄様を怒っていた、彼を見た。

「俺にふるなよなぁ…。信玄様いい加減にして下さい。女を誰彼構わず口説いて、また倒れたいんですか?…明日のおやつは抜きです!」

「えぇ…それは困るなぁ。許してくれよ、幸…。」

どっちが主なんでしょうかねこれ…。私は可笑しくて笑ってしまった。…陽は凄く苛立った顔をしているけれど。

「陽、信玄様はとてもいい人よ。見れば分かるわ。そんなに怒らないで。」

「…姫様がそう仰るなら。…ですが、あなたは姫様に近づかないで下さい、甲斐の虎!あなたは危険すぎます、色々な意味で!」

完全に陽に嫌われましたね、信玄様。私はまた笑ってしまった。

「…ふむ、やはり天女は笑うと更に美しくなるな。俺の下でその笑顔を見せてくれないか?」

そう言って、私の顎を上げてきた信玄様。

「信玄様!!」

「甲斐の虎!!」

また騒がしくなってしまった室内で、静観をしている謙信様。そして、私と佐助君はまた笑っていた。







「また来るよ、天女。次は逢瀬にでも一緒に行こう。」

「ふふっ…懲りないですねぇ。ところで、何故天女なのですか?名前を教えましたのに、呼ばれないのは寂しいです。」

「それは、済まない。美しい女性を見ると、天女と呼ばずにはいられなくてね。特に君の様な女性は初めてだからつい気持ちが昂ってしまった。」

「ふふっ…お世辞が上手ですねぇ…。」

「お世辞じゃぁ、ないんだかなぁ…。」

「…信玄様、いい加減にして下さい!」

「そうです!甲斐の虎、姫様から離れて下さい!」

外に出ても駄目でしたか…。ずっと陽が信玄様を睨んでいる。

「ごめんね、騒がしくて。」

「いいえ、楽しかったですし。」

「…それは、良かった。」

「…しのぶ、またお前に会いに此処に来よう。」

そうして、私達は別れ、また会うことを約束したのだ。
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