第18章 新たな出会い
「…ふん、貴様には関係なかろう。」
「なっ…!やはり、織田家と戦を…!」
かなり険悪な雰囲気です。まずいですよ、これ。
「…謙信様、どうどう。それと、あなたも落ち着いて下さい。…俺達はただ信玄様の要望で安土に来ただけです。どうしても、安土の蝶姫を見たいと仰るので仕方なく…。」
佐助君が仲裁してくれましたが、来た理由がそれって…。私は呆れながらも、彼の言葉に耳を傾けた。
「…それって私の事ですか?…ていうか、どう考えても私の事ですよね…。そこまで、噂が広まっているんですか…。」
私は溜息をつきながらフラフラと倒れそうになった。流石に、頑張り過ぎましたかね…。足元がおぼつかないでいると、私を抱き止めてくれた人がいた。
「おっ、おい!…大丈夫かよ。」
「…あなた、は?」
「…自己紹介だったけか…。…俺は甲斐の虎、武田信玄様の忠臣、真田幸村だ。」
それを聞いて、またもや陽が戦慄する。
「はぁ…!?甲斐の虎って持病で亡くなられたのでは…。はっ…!まさか、姫様がお助けになったあの男性は…。」
「ああ、信玄様本人だ。」
その言葉を聞いて、陽は崩れ落ちた。
「…姫様、申し訳ありません!私は犯してはならない罪を犯しました!…姫様の診療所に敵国の武将をそしてその頭を入れてしまうなど…。」
「よ、陽、落ち着いて!この方たちは敵対する姿勢は見せていないわ。それに、どうやら私に会いに来たみたいだしね。…そうでしょう、佐助君?」
私は、チラッと佐助君を見た。
「…ええ、刀を向けないことをお約束致します。…ですから、どうか穏便に済ませては頂けないでしょうか…陽さん。」
「…あなたに、陽と呼ばれたくありません!…ですが、姫様に決して危害を加えないことをお約束してくださるなら話は別です。」
佐助君の目を見て、真剣な眼差しで話す陽。佐助君はそれに答えるように深く頷いた。
「…はい、この命に掛けても決して。」
「………不本意ですが、承知いたしました。」
取り敢えず、収まったみたいです。さて、これからどうしましょうか?
「…胡蝶さん、いいかな?」
「…はい?……しのぶと呼んでください。皆さん何故か下の名前で呼ぶのでそれに慣れてしまって。」
「ふふっ…判った。それじゃあ、しのぶさん。さっきの続きの話をしよう。……俺が、この世界に来た経緯について。」