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戦乱の蝶姫

第18章  新たな出会い


「…ふぅ、漸く出来ましたよ薬。あとはこれを飲ませるだけです。…失礼しますね。」

そう言って、私はその出来た薬を持って倒れている男性の近くに座り、彼の口元を開けて薬を流し込んだ。

「…っぐ。こほっ…!」

やっぱり、中々飲めないですね。とても、お辛そうです。

「…頑張ってください。これを飲めばあなたは助かりますよ。」

私は彼に励ましの言葉を掛けながら薬を飲ませた。


「……すぅ、すぅ。」

倒れた男性は漸く、ぐっすり寝たようだった。私は、聴診器を彼の胸に当て、肺の音を確認した。

「…炎症は治まったみたいです。もう大丈夫ですよ。」

私はニッコリと笑って、他の4人を見た。

「…本…当、か?……ありがとう、なんてお礼を言ったらいいのか…。」

赤を主体とした服を着た彼が私に頭を下げてきた。

「…いいえ、私は当たり前のことをしただけですよ。」

私がにこやかに笑うと、ある男性が此方にやってきた。

「……お前、名は何と言う?」

片方の目がそれぞれ別の色をした人が私を見つめて言った。

「…えっと、胡蝶しのぶですけれど…。ていうか、佐助君に聞かなかったんですか?…家臣なのでは?」

「…俺は基本、女には興味が無い。」

「……はぁ、そうですか。」

「…だが、お前は大分違う様だ。…世話になった。」

…話が矛盾してますよね、それ。どうしようか困っていると佐助君が助け舟を出してくれた。

「…謙信様、俺だけ自己紹介も変なので、この際、皆やりませんか?」

「…はぁ?佐助、おま、何言って…。」

「…いいだろう、名ぐらいは名乗っておこう。」

「…謙信様?!」

何かよく分かりませんが、自己紹介という流れになりました。…意味がわからないのですが。

「俺は春日山城の領主、上杉謙信だ。佐助は俺の家臣であり、優秀な忍だ。」

それを聞いた途端に、陽が警戒心を露わにした。

「なっ…!上杉の?!…姫様、お下がりください!…謙信と聞いてもしやと思いましたが、生きていたのですね、越後の龍!」

「…越後の龍?」

私が不思議に思って首を曲げると、佐助君が答えてくれた。

「謙信様の通り名だよ、別名、軍神とも呼ばれているんだ。」

「へぇ…ふふっ…何か物騒な方ですね。」

私が笑っていると、陽は更に警戒心を上げた。

「…っ何故、あなたが安土に居るのですか、軍神?!」

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