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戦乱の蝶姫

第18章  新たな出会い


「ふふっ、私は医者ですから。患者を助けるのは当たり前です。…取り敢えず、呼吸器の炎症を抑える薬をお出ししておきますね。これを飲み続ければ、吐血は恐らく無いでしょう。」

私はニッコリと微笑んで彼を見た。…さっきから、泣き止まないのですが、どうしましょうか。私が困り果てていると、横から現れた眼鏡の人。

「…幸村、気持ちは分かるけれど落ち着いて。この人も、困ってるから。」

「…ゔぅぅ。ずまねぇ…。グっ…。」

泣きじゃくる彼を宥める人、やっぱり何処かで。

「…あなたは、やっぱり何処かで…。」

「…はじめまして、胡蝶しのぶさん。」

突然、名前も知らない彼に呼ばれて驚く。私は即座に戦闘態勢を取った。

「…何故、私の名前をご存知なのですか?…返答によっては力ずくで教えて頂きます…。」

そう言うと、彼は慌てて手をブンブンと前に振った。

「俺は君と戦うつもりは無いよ!…君の血縁者に君の名前を教えてもらったんだ。」

意味のわからないことを言い出す彼。…血縁者?何を言って…。

「…血縁者とは一体…?」

「…綺麗な女性だった。君と瓜二つの顔をした女性だ。長い黒髪に緑色の羽を桃色で縁取った蝶の髪飾りを2つつけて、蝶の羽のような羽織をはおった女性だった。」

私はその話を聞いた途端に何故というよりも怒りの方が勝った。

「…何故、お前が私の姉のことを知っている。…答えろ!!」

私は鋭い目で彼を見た。恐らく、私の目には深い憎しみが映っていたのだろう。彼は一瞬驚いた顔をしたあと、少しだけ口角をあげて話しだした。

「…やっぱり、君のお姉さんだったんだね。あの人、結局名前も教えてくれないまま、消えてしまったから。まあ、幽霊だったから仕方が無いだろうけれど。…最後に私の妹って言ってたからやっぱりそうだと思ったよ。」

「…幽霊?…何を言って…。」

私は彼の言っていることが何一つ理解出来なかった。混乱していると、彼がまた話しだした。

「…君のお姉さんは俺の恩人だ。何せ、タイムスリップしてきたときに、俺をここまで導いてくれたんだから。その人と約束したんだ、君の力になるって。…自己紹介が遅くなった、俺の名前は猿飛佐助。此方にいらっしゃる上杉謙信様の家臣で、平成から時空を超えてきたものだ。」

彼の突然の言葉に私は理解が追いつかなかった。

「…………っはぁ?!」

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